特集(過去のエピソード) 第2回 これって誰に言ったらいいんでしょ？

公開日：2011/07/24

こういうソフトを作っておりますと、ご無体な相談や苦情を寄せられることがあったりします。
ここでは、代表的なものを載せてみたいと思います。

デフラグそのものを作っていると勘違いされる

一般的に「デフラグ用のソフト」と言えば、デフラグそのものを行う「デフラグエンジンを提供する」ことが一般的だと思います。

本ソフトの場合は、Windows付属のデフラグを「補助する」ことを目的とします。要は、デフラグそのものは行いません。デフラグを行う手前までの作業（環境作成）を行って、後の作業はWindows付属のデフラグに任せ、それが終わったら再び作業（環境復元）を行う、といった流れです。そういうわけなので、次のような相談を受けても、どうしようもなかったりします。

• 実行されているデフラグは、Windows付属のデフラグとどう違うのか？
  →実体は同じモノです。ただ、その前後に常駐プログラムの除去を入れているかどうか、の違いです。
  
  
• デフラグの進捗率を表示して欲しい。
  →補助ソフト側では進捗は感知できないのです。
  
  
• HDDの温度が上がったら、一時停止し、冷めてきたら、少し前に戻って再開する機能を付けて欲しい
  →今のところ一時停止のためのインタフェースはないようですし、そもそもデフラグって「少し前に戻って」が実現できるようなシーケンシャルな作りにはなっていなそうな気がします。
  
  
• デフラグに○○の機能を追加して欲しい
  →たぶん、その要望の向け先はマイクロソフトさんです。
  
  

夏場のデフラグ

ダウンロードページなどで、次のような警告を度々行っています。

夏はタダでさえパソコンのトラブルの多い時期です。上記のメッセージを出しておかないと、「デフラグでHDDが壊れた」という苦情が殺到して、作者の日常生活に支障が出たこともありました（まぁ、少し大げさに書いていますけど）。そういうわけで、予防線を張るような意味で、このメッセージを出しています。で、実際に苦情件数は激減しました。

わざわざ高速道路の真ん中で寝転がるようなことをしないのと同じで。
わざわざ危険な行為を自ら行うようなことがありませんように。

その他

このソフトがデフラグの動きを速くするソフトだと思われている場合もあるようですね。ところにより正解で、ところにより間違いです。というか、「デフラグの速度」をうまく定義できません。

一般的に速度というと、距離を時間で割ったものだと思いますが、デフラグの場合はHDD容量を時間で割ったものになるでしょうか？　でもデフラグは、すべてのHDDの地点を通過するとは限りません。フラグメントが必要な領域は都度変わりますしね。まぁ、常駐プログラムの除去により、パソコンがデフラグに集中できれば、その分処理も早く終わることもあるかもしれませんが、逆に常駐プログラム除去により「その常駐プログラムが使うはずだったディスク領域が移動可能」になり、多くのフラグメント解消を行うことで時間の掛かるケースもあると思われますので。

あと、デフラグがなんなのか分からずに実行されているケースもあったようですね。なんか、神様みたいな行為だと思われている、みたいなケースも。

例えば、「デフラグをやったのですが、ADSLが速くなりません」みたいなメールを受け取ったときには、もうどうしようかと思いましたね。フラグメント解消に、ネットの先まで速くする効果はないのです。

また、「HDDの調子が悪くなったのでデフラグをしたら改善されました！ありがとうございます！」みたいなメールも受け取ったのですが、かなりヒヤヒヤしました。っていうか、デフラグってHDDの調子が悪いときに行うべきものではありません。今回は偶然改善されたようで良かったみたいですが、一般的に、HDDの調子が悪いときにデフラグを行うというのは、HDDの調子が悪い領域に正常なデータが転送され、コピーされ転送されることを意味するので、HDDの内容が次々（広がっていくように）壊れていくケースが多いです。

というわけなので、フラグメント（断片化）が何かを理解してからデフラグを行った方がよいでしょう。

…と、ここまで書いてから思ったのですが、最近のWindowsって、背後で自動でデフラグが流れるんですよね。HDDが損傷しているときにそれをやられると…自動でデータ破壊が広がっていきそうな気がするんだけど…大丈夫かな。

あと、以前に「毎日デフラグをやっています」みたいなメールをいただいたことがあったのですが、HDDのヘッドってどんどん損傷していくものなので、やり過ぎはHDDの寿命を縮めます。デフラグでHDDの寿命が延びるのは、フラグメント増加でHDDの作業効率が悪いときに、それを改善できた場合です。そこのところ、お気を付けください。