2026.2.15
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スクリプトでキーボードシミュレートを自由にカスタマイズするためのFR-Script解説
キーボードシミュレートするキーや文字列をスクリプト指定で制御するための機能です。
入力モードを選択するラジオボタンで「スクリプト入力モード」を選ぶと、入力した文字列がスクリプト(FR-Script)として扱われ、「入力開始」ボタンの押下でスクリプトが実行されるようになります。
なお、スクリプトが無限ループするなどして完了しない場合、「中止」ボタンを押すと中止できます。本プログラム自体が終了した場合は、スクリプトを実行しているスレッドを強制終了します。
スクリプト入力モードを利用する場合は、「入力を○○回繰り返す」の指定は無視されます。ループ制御はスクリプト内で指定してください。
文法ルールは、「いじくるつくーる」に搭載されていたR-Scriptと似たようなものとなっており、軽量版です(FR-ScriptのFはFeatherの略です)。詳細な文法解説は後述します。
スクリプトのサンプル
以下に、FR-Scriptのサンプルを示しますので、これを参考に独自の動きを構築してみてください。
(1) ランダムな数値を3文字入力する。
KeybdEvent()は指定された仮想キーコードを押し離しする組み込み関数であり、第2引数は、キーボードを 1 = 押す、0 = 離す ことのシミュレーションを意味します。
その他の組み込み関数は、スクリプト仕様の関数リファレンスをご参照ください。
srand(GetCurrentSecond()); i = rand() % 10 KeybdEvent(VK_0+i, 1) KeybdEvent(VK_0+i, 0) Sleep(20) i = rand() % 10 KeybdEvent(VK_0+i, 1) KeybdEvent(VK_0+i, 0) Sleep(20) i = rand() % 10 KeybdEvent(VK_0+i, 1) KeybdEvent(VK_0+i, 0) Sleep(20)
(2) Aを10回押す。
KeybdEvent()で利用できるキーコードは、仮想キーコードと特殊入力一覧を参照してください。
i = 0
while(i < 10) {
KeybdEvent(VK_A, 1)
KeybdEvent(VK_A, 0)
Sleep(20)
++i
}
次の書き方もできます。
for(i=0 , i<10, ++i) {
KeybdEvent(VK_A, 1)
KeybdEvent(VK_A, 0)
Sleep(20)
}
(3) 「管」の文字を10回入力する。
SendInputUnicode() は、指定された1文字をアクティブなプログラムに流し込む組み込み関数です。
i = 0
while(i < 10) {
SendInputUnicode("管", 1)
SendInputUnicode("管", 0)
Sleep(20)
++i
}
次の書き方もできます。
for(i=0 , i<10, ++i) {
SendInputUnicode("管", 1)
SendInputUnicode("管", 0)
Sleep(20)
}
FR-Script スクリプト仕様
FR-Scriptは、数値と文字列を直感的に扱える軽量なスクリプト言語です。コールバック(CB)を利用して、スクリプト実装元のプログラム機能を呼び出す他、時刻取得・乱数の取得・Windows APIを利用したダイアログ表示や環境変数操作にも対応しています。
1. 基本仕様
・変数とデータ型
- 数値変数: 下記のルール内で名前を自由に付けられます(例:
count,val1)。初期値は0です。 - 文字列変数: 下記のルールの名前の末尾に
$を付けます(例:name$,msg$)。初期値は空文字""です。
変数名および後述の関数名は、アンダーバー(_)またはアルファベットで始まり、数字・アンダーバー(_)・アルファベットが続くというルールで付けます。英大文字・小文字を区別しません。
なお、初期代入変数として、数値変数YesおよびisNTには、数値1が最初から設定されています。
・即値
基本的に数値は10進数で指定します。32bitで表現可能な範囲(-2147483648 〜 2147483647)を扱えます。0xで始まると16進数、0bで始まると2進数が指定できます。
Trueは1、Falseは0を意味します。
・文字列リテラル
ダブルコーテーション "..." またはシングルコーテーション '...' で囲みます。
- エスケープシーケンス:
\n(改行),\t(タブ),\\,\"などが利用可能です。 - RAW文字列:
@を頭に付けると、\をそのまま文字として扱います。
例:@"C:\Users\Documents"(Windowsのパス指定に便利です)
スクリプトの処理系は、外部とのやり取りには文字コードにUTF-16LEを用いますが、内部的には文字コードにUTF-8を用います。
・コメント
#, //, ; で始まる行は、行末までコメント(何も行わない)となります。
2. 演算子
| 演算子 | 動作 |
|---|---|
+ | 数値同士は加算、文字列が含まれる場合は連結します。 |
- | 数値同士を減算します。 |
* | 数値同士を乗算します。 |
/ | 数値同士を除算します。0で割るとエラーになり、処理を停止します。 |
% | 数値同士を除算した余りを求めます。0で割るとエラーになり、処理を停止します。 |
= | 変数代入を行います。 |
+= , -= | 加算・減算しつつ変数代入を行います。 1増加・1減少させたい場合の書き方として、a++, a--,++a,--aという書き方もできます。 ただし、a++, a--の場合は、加算・減算前の値が評価結果となります。 |
<< , >> | 左シフト、右シフト。 |
| , & | ビットOR, ビットAND。 |
*= , /= , %= ,<<= , >>= ,|=, &=, ^= | 各演算を行いつつ変数代入します。 |
?: | 条件演算子。(cond) ? t_expr : f_expr の形式で用いて、condが真ならばt_exprが評価され結果となり、偽ならばf_exprが評価され結果となります。例: b = (a==5)?3:7 … a=5ならば3が、a≠5ならば7がbに代入される。 |
! , ~ | 論理否定, ビット否定。 |
|| , && | if文の中で条件式をOR, ANDする場合に使用。 |
== , != | 比較。型が異なる場合は文字列に変換して比較します。 |
=== , !== | 厳密な比較。型が異なる場合は不一致とみなします。 |
< , > , <= , >= | 数値は大小比較、文字列は辞書順で比較します。型が異なる場合は偽となります。 |
(...) | 優先順位を高めて式を評価します。 |
関数名() | 組み込み関数(後述)を呼び出します。 |
CB.関数名() | 呼び出し元アプリケーションへのコールバック関数呼び出しです。 呼び出し元アプリケーションごとの独自の機能を提供できます。 (例:マウスのお供…マウスのそばに表示する文字列を決める機能、CPU利用率等の情報の取得機能の提供等) |
3. 制御構造 (IF-ELSE, WHILE, FOR, EXIT)
条件分岐は IF - ELSE IF - ELSE を使用します。IFの後ろの式が真の場合は直後のブロックを実行し、偽の場合はELSE IFの式を評価し、…、いずれの条件も真にならなかった場合はELSEの後ろのブロックを実行します。ELSE IF, ELSEのブロックは省略可能です。
if (score >= 80) {
msg$ = "合格!"
}
else {
msg$ = "がんばりましょう"
}
繰り返しは WHILE を使用します。WHILEの後ろの式が真の状態の場合に、後ろのブロック内を実行します。ブロックの最後まで実行すると、再び式の評価が再び行われ、…、とループします。WHILE(TRUE)と書くと無限ループになりますが、WHILE(TRUE) の特別な書き方として LOOPという書き方も可能です。
i = 0
while(i < 10) {
TextOut("" + i)
++i
}
// 無限ループになります
i = 0
loop {
TextOut("" + i)
++i
}
繰り返しは FOR を使用することもできます。FOR (式1 , 式2 , 式3)の形になります。最初に「式1」が評価(変数初期化を想定)され、式2が真の状態の場合に、後ろのブロック内を実行します。ブロックの最後まで実行すると、式3(変数のインクリメントを想定)が評価され、再び式2の評価が再び行われ評価結果が真ならば、…、とループします。
for(i=0, i<10, ++i) {
TextOut("" + i)
}
for直後の括弧内の式は、C言語のようなセミコロン区切りではなく、カンマ区切りとなります。
WHILE, LOOP, FOR から抜けるには、式の評価が偽になる場合の他、BREAK を使います。条件評価にすぐに戻る場合は CONTINUE を使います。
スクリプトを直ちに終了させる場合は、EXIT を使います。
i = 0
loop {
TextOut("" + i)
++i
// 現在時刻の秒の部分が30を超えたらループを抜けます
if (GetCurrentSecond() > 30) {
break
}
}
TextOut("ループを抜けました")
i = 0
while(i < 100) {
TextOut("" + i)
// 現在時刻の秒の部分が30未満の時は、++iを実行せずに条件評価まで戻ります
if (GetCurrentSecond() < 30) {
continue
}
++i
}
i = 0
while(true) {
TextOut("" + i)
// 現在時刻の秒の部分が30を超えたらループを抜け、スクリプト自体も直ちに終了します
if (GetCurrentSecond() > 30) {
exit
}
++i
}
TextOut("ここには来ません")
ここで登場したキーワード(IF, ELSE, WHILE, LOOP, FOR, BREAK, CONTINUE, EXIT)および、TRUE, FALSEは、変数名としては使えません。
4. 組み込み関数リファレンス
制御・日時・乱数
| 関数名 | 説明 |
|---|---|
Sleep(n) | nミリ秒だけスクリプトの処理を停止します。0を指定すると、他のスレッドに一瞬だけ処理を譲ってすぐに戻ります。 |
GetCurrentYear() | 現在のローカル日時の、年・月・日・曜日・時(24h表記)・分・秒・ミリ秒を返します。 曜日は、0=日曜日, 1=月曜日, … , 6=土曜日を意味します。 ミリ秒とは、1000ミリ秒=1秒です。 |
srand([n]) | 数値nで疑似乱数を初期化します。nを省略した場合は、OS起動時からの経過時間(ミリ秒)を使います。 |
rand() | 疑似乱数を返します。 |
GetFR_ScriptVersion() | FR-Scriptのバージョン番号を数値で返します。(ver.X.YY.ZZ ⇒ XYYZZ) |
GetSystemMetrics(n) | GetSystemMetrics APIを、与えられた引数で呼び出し、その結果を返します。(例:67…セーフモード起動時は1、16…プライマリモニタの横幅(ピクセル単位)、17…プライマリモニタの高さ(ピクセル単位)、 19…マウスが接続されていたら1、75…ホイール付きマウスだったら1) |
文字列・変換関数
| 関数名 | 説明 |
|---|---|
strlen(s$) | バイト数を返します。 |
strupr$(s$) | アルファベットを大文字に変換した文字列を返します。 |
strlwr$(s$) | アルファベットを小文字に変換した文字列を返します。 |
strstr(s$, t$) | 文字列s$の中から文字t$を探し、見つかった位置(バイト)を返します。見つからなかった場合は-1を返します。 |
strstri(s$, t$) | strstr()の英大文字・小文字を区別しない版です。 |
left$(s$, n) | 先頭から n バイト抜き出します。 |
right$(s$, n) | 末尾から n バイト抜き出します。 |
mid$(s$, n, m),substr$(s$, n, m) | n バイト目から m バイト抜き出します。 |
toStr$(n) | 数値を10進数文字列に変換します。 |
toStr16$(n), toStr2$(n) | 数値を16進数文字列, 2進数文字列に変換します。 |
toInt(s$) | 文字列を数値に変換します。 |
GetAsciiCode(s$, n) | 文字列s$のnバイト目の文字コードを返します。nが範囲外の場合は-1を返します。 |
AsciiCode$(n) | 文字コードnの1バイトからなる文字列を返します。 |
Replace$(s$, r1$, r2$) | 文字列s$の中からr1$を探し、r2$に置換した文字列を返します。 |
PadLeft$(s$, n[, t$]) | 文字列s$がn桁以上になるように、文字列の左側に文字t$を補完した文字列を返します。t$を省略した場合はスペースとなります。 |
PadRight$(s$, n[, t$]) | 文字列s$がn桁以上になるように、文字列の右側に文字t$を補完した文字列を返します。t$を省略した場合はスペースとなります。 |
TrimLeft$(s$[, t$]) | 文字列s$の左側から、t$で指定された文字群を取り除いた文字列を返します。t$を省略した場合はスペースとなります。 |
TrimRight$(s$[, t$]) | 文字列s$の右側から、t$で指定された文字群を取り除いた文字列を返します。t$を省略した場合はスペースとなります。 |
システム・UI関数
| 関数名 | 説明 |
|---|---|
getenv$(name$) | 環境変数の値を取得します。 |
setenv(name$, value$) | 環境変数name$に値value$を設定します。環境変数の設定はこのプログラム内のみで有効であり、他のプログラムには影響しません。 |
TextOut(msg$[, title$]) | メッセージボックスを表示します。 |
Question(msg$[, title$]) | はい(戻り値=1) / いいえ(戻り値=0) の選択ダイアログを表示します。 |
Question_OkCancel(msg$[, title$]) | OK(戻り値=1) / キャンセル(戻り値=0) の選択ダイアログを表示します。 |
Question_YesNoCancel(msg$[, title$]) | はい(戻り値=1) / いいえ(戻り値=0) / キャンセル(戻り値=-1) の選択ダイアログを表示します。 |
Error(msg$[, title$]) | エラー(×),警告(!),情報(i)アイコン付きのメッセージボックスを表示します。 |
MessageBeep(n) | システムの一般的な警告音に定義されたサウンド等を鳴らします。 ( n:0…一般警告音, 0x10…エラー音, 0x20…問合せ音, 0x30…警告音, 0x40…情報音)いずれも、鳴らせない場合は一般警告音またはビープ音が鳴ります。 |
マウス・キーボードイベント関数
| 関数名 | 説明 |
|---|---|
GetCursorPosX() | 現在のマウスカーソルの座標(x, y)のうちxを返します。 |
GetCursorPosY() | 現在のマウスカーソルの座標(x, y)のうちyを返します。 |
SetCursorPos(x, y) | マウスカーソルの位置を座標(x, y)に設定します。 |
MoveMouse(dx, dy) | マウスカーソルを右に dx、下に dy 移動させます(ミッキー単位)。左・上に移動したい場合は、負の値を指定します。 |
MouseWheel(n) | マウスホイールを n だけ回転させたことにします。 |
MouseButtonLeft(p) | それぞれマウスの左ボタン・右ボタン・中央ボタンが、p = 1 押し、p = 0 離し したことにします。 |
MouseButtonX1(p) | マウスのX1・X2が、p = 1 押し、p = 0 離し したことにします。X1・X2ボタンは、ブラウザの「戻る」「進む」が割り当てられることが多いボタンです。 |
KeybdEvent(keycode, p) | keycodeに指定したキーコードのキーについて、p = 1 押し、p = 0 離し します。キーコードには、VK_***の指定が利用できます。 |
SendInputUnicode(c$, p) | c$で指定した文字(Unicode 1文字)について、p = 1 押し、p = 0 離し します。 |
※[...] … 省略可能な引数であることを示します。
組み込み関数名の英大文字・小文字は区別されません。
5. サンプルコード
// ユーザーへの挨拶と環境変数の表示
user$ = getenv$("USERNAME")
IF (Question(user$ + "さん、環境を表示しますか?", "確認")) {
path$ = getenv$("PATH")
Information("PATHの内容: " + left$(path$, 50) + "...", "システム情報")
}
6. その他
構文エラーがある場合や、ゼロ除算・関数名が見つからないなどの場合は、エラーが発生した行番号が表示されます。
FR-Scriptについて:
このスクリプトは、いじくるつくーる(Rnsf ver.7)に搭載されていたR-Scriptの軽量版となります。for, goto, 配列, 条件演算子などの一部機能や、大部分の関数(ファイル・レジストリ操作系・ダイアログ構築系・DLL呼び出し・正規表現等)は省かれています。ただし、コールバックによるスクリプト呼び出し元アプリケーションによる機能提供が可能です。
FR-Scriptの構築、このマニュアルの作成について:
R-Scriptのインタプリタの作成、および、このマニュアルの作成は、生成AIによるプログラミング手法の確立を目的に、テキストで書かれた文法書を、生成AIのGeminiに渡して作成したコード(lex, yacc, C++)をベースに、作者の手により手直し、あるいは、生成AIとの相談による修正を経て、作成されました。極めて素早い期間での構築となりました。
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