トレンドマイクロ社の公開した「ウイルスバスターにおけるINASOFTソフトウェアの判定」に関するQ&Aページと、「ジョークソフトの判定」に関するQ&Aページが同一のページに書かれていたことから、インターネット上の投稿サイト等(スラッシュドット等)において、次のような誤解が出てきているとのご報告を受けました。
いずれも事実とは異なっております。トレンドマイクロ社のウイルスバスターによる、現在のジョークソフトの判定とその処理方の実装については、私の思いとは全く異なるところから出てきた、トレンドマイクロ社独自の思想による実装となります。
この実装にあたり、私の思いは反映されておりません。
ジョークソフトに対するスタンスと、その処理方について、私とトレンドマイクロ社は一切のことについて同意をしておりません。
従って、現在ウイルスバスターに実装されているジョークソフトの判定と処理方については、トレンドマイクロ社独自の思想により作られてものであり、私からの要望が反映されたわけではありませんので、誤解の無いようお願いします。
このような誤解があることを踏まえまして、私とトレンドマイクロ社で協議を行いました。このような誤解が生じるのは、「ウイルスバスターにおけるINASOFTソフトウェアの判定」に関するQ&Aページと、「ジョークソフトの判定」に関するQ&Aページが同一のページに書かれていることから生じるものであり、トレンドマイクロ社としてもこのような誤解は本意ではないので、これら2つのQ&Aは、2つのページに分割することとなりました。
これにより、現在ウイルスバスターに実装されているジョークソフトの判定と処理方について、私とは無関係であることが分かるかと思います。
なお、ジョークソフトに対するスタンスと、その処理方については、今後、私とトレンドマイクロ社の間で合意形成をし、最終的には適切な処理方へ変更されることを望んでいます。
現在の実装では、どういうジョークソフトであれ(表示で楽しませる無害なものであれ、ファイルを消してしまうような悪質なマルウェア的なものであれ)、ジョークソフトというだけで、デフォルトで削除されてしまうものとなっていると聞いています。削除されなくなるのは、ウイルスバスターのユーザーが「ジョークソフトの検出後、自動削除をしない」という検出オプションを見つけ、設定をしたときのみと聞き及んでおります。
通常のソフトとマルウェアの自動判定ができているウイルスバスターが、ジョークソフトに関してのみ、通常の楽しませるソフトとマルウェア的なソフトの区別ができないとは、とても思えません。これは、あまりに乱暴なレッテル貼りだと考えており、私としては、現在のような実装では到底同意できるものではありません。
このような状況に同意をしてしまっては、全国でジョークソフトを作成されている他の作者様へ、顔向けができません。
また現在、ジョークソフトは、それが人を楽しませるだけのものであれ、ファイルを消してしまうような悪質なマルウェア的なものであれ、すべてが「スパイウェア」として分類されるとお聞きしております。
画面にはスパイウェアと表示されるということかと思います。
スパイウェアと聞いたら普通、「ああ、これはジョークソフトなんだ」と思うよりは、「怪しげなソフトをダウンロードさせたINASOFTはゆるさん」という発想の方が、先に思い浮かぶものかと思います。トレンドマイクロの定義には、スパイウェアにはジョークソフトが含まれ、スパイウェアの中には安心できるものがあるという思想なのかもしれませんが、世間一般が受ける「スパイウェア」という言葉からのイメージは、過日世間を騒がせた遠隔操作ウイルスとか、情報を盗み出したりするようなソフトのことを指すのではないでしょうか。
私としては、ジョークソフトがスパイウェアに分類され、それが人々に提示され(結果、誤解が生じる)ことも、非常に乱暴であり、心外です。
スパイウェアに分類されるのは、スパイウェア的な動きをするジョークまがいソフトだけで十分だと思います。マルウェア的な動きをするソフトをジョークソフトと呼んで、一緒くたに分類してしまうのは、非常に乱暴な分類です。ウイルスバスターならば、あるソフトがスパイウェア的な動きをするとか、マルウェア的な動きをするとか、そういったことを自動判定する技術は持っていると思います。その技術が、ジョークソフトというレッテルを貼った場合にだけ動作しなくなるとは、到底思えないのです。従って、このアルゴリズムは、もっと進化した姿が、あるはずです。
以上を踏まえ、ジョークソフトの分類・判定方・処理方のすべてにつきまして、トレンドマイクロ社には見直しを求めていく所存です。