Written in Japanese(UTF-8)
2014.8.30
INASOFT


/トップ/いじくるつくーる/ダウンロード/WebHelp/ヘルプトップ/

本ソフトウェアの開発は終了しています。ヘルプに記載されている情報も古いものになっています。


文章保管庫



スキャンディスクが実行できません(2001. 4. 8)


 最近、「すっきり!! デフラグを利用してもスキャンディスクのクラスタスキャン(完全)が停止する問題が解決しない」件について、多数のメールを頂いております。この件については、INASOFTにも書かれているとおり、私に根本的な解決をする能力はありません。ここでは、その理由について述べてみることにします。

 もともと、WindowsはMS-DOSのグラフィック環境として生まれました(Windows 95/98 は MS-DOS 7.0/7.1上で動作するひとつのアプリケーションに過ぎません)。MS-DOSは、日本ではPC98全盛期に大繁栄したOSであり、その資産の量は膨大です。また、Windows 3.1も、日本のPC業界では、「プレインストール競争」のまっただ中で販売されたOSであることもあって、これもまた大量の資産が存在します。

 かなり前になりますが、中小企業の「2000年問題対応に苦しむ姿」を目の前で見たことがあります。中小企業にとって、2000年問題のためにソフトを大量に入れ替えるのはかなりの痛手であると認識しました。これは、私にとってはかなり貴重な経験になったでしょう。なぜなら、それまでは「ソフトなんて、新しいのに入れ替えればいいじゃん」と思っていたのですが、実際、企業がソフトを入れ替えるとなると、膨大な量のライセンス契約を取り交わしたり、場合によってはコンピュータそのものを物理的に入れ替える必要があるため、膨大な出費となります。

 なにもコンピュータは2000年問題のためだけに買い換えられるわけではなく、その他の原因によっても発生します。さらに、使っているソフトウェアを切り替えるとなると、膨大な量の顧客データも入れ替えなければなりません。これは、並大抵の仕事ではありません。さらに、新しいソフトウェアを使用するにあたっての、ソフトウェアの使い方の講習。これって、バカにならない出費ですよ。

 となると、コンピュータメーカーやOSメーカーは「過去のソフトウェア(ここでは資産と呼ぶ)を継承する」義務が発生するわけです。マックユーザーがWindowsに乗り換えられなかったり、またその逆が簡単にできないのは、この問題の簡易版が原因というのもあるでしょう。

 さて、Windowsは、そういうわけで、過去のMS-DOSの資産、Windows 3.1の資産をすべて引き継ぐという義務が課せられました。Microsoftにとっては、かなりの痛手です。しかし、人気を保つためには、ある程度の不安定さを引き替えにしてでも、過去の資産を継承する必要性がありました。

 そうです。Windowsには「不安定さ」が残っているのです。実際、Windows 2000は「65,000個の不具合を抱えたまま出荷された」という有名な話もありますが、これらのうちのいくつかは、「過去の資産を継承するために、しかたなく残した不具合」であるに違いありません。

 どちらにせよ、Windowsは出荷時点から不具合を抱えているわけです。

 今回、なんでこんな話をしているのかというと、こんな不安定なマルチタスクOS上で動かなければならない、スキャンディスクのはかなさを知ってもらいたいからです。Windowsは、MS-DOSのシングルタスクの使いやすさを継承しつつ、現代社会にあったマルチタスクOSとしての使命をまっとうしなければなりません。しかし、場合によっては、これら2つのことは相反します。スキャンディスクは他タスクに邪魔されない環境を好みますが、Windowsは他のタスク、または Scandskw.exe からの要請に応じて、メモリを確保します。メモリが足らなくなったら、当然、HDDへスワップが行きます。とあるサイトを見て知ったのですが、Windowsはメモリが足らなかろうと足りていようと、スワップする動作が発現するようなプログラムになっているんだそうです。

 となると、Windowsというマルチタスク上でスキャンディスクのクラスタスキャン(完全)を実行するのは、あまり得策ではないことがわかります。そこで、MS-DOSモードへ降りることを考えるわけですが、ここで一つ困りました。Windows MeにはMS-DOSモードが無いのです。これは、Windows XP へ世の中がスムーズに移行するための Microsoft の提案の一つだと思いますが、僕はOSの構造上の欠陥だと思っています。わざわざ起動ディスクを作らないと、スキャンディスクもできないし、レジストリの最適化もできないのです。

 もう一つ、Windowsはとてもたくさんのプログラムの集合体です。とくにデバイスドライバや常駐プログラム等は、組み合わせたときに出る不具合が「相性」という用語で呼ばれてしまうほど、原因が多数考えられ、またその解決方法も様々です。最近の計算機は1秒間に1,000,000,000回もの演算を行うと言いますし、デバイスドライバや常駐プログラムの数も膨大です。Windowsは、こういった多数の問題となりうる要素がとても深く入り組んだ構造をしており、実はこれが、Windowsソフトウェアのサポートの難しさになっています。

 こうなると、人間が「ある不具合」に対して、根本的な解決の答えを模索することなんて、不可能なんじゃないかとも思えてきます。


※このページは、ソフトウェアに付属のヘルプファイルをWeb用に再構築したものです。大部分に自動変換を施しているため、一部は正しく変換しきれずに表示の乱れている箇所があるかもしれませんが、ご容赦下さい。また、本ドキュメントはアーカイブドキュメントであり、内容は「いじくるつくーる」最終公開時点、あるいは、それより古い時点のものとなっております。一部、内容が古くなっている箇所があるかと思いますが、あらかじめご了承下さい。
※このページへは、自由にリンクしていただいてかまいません。
このページに関するご意見の受け付けは終了しています。

/トップ/いじくるつくーる/ダウンロード/WebHelp/ヘルプトップ/