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2012. 1. 3
INASOFT

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2012年とフリーソフトと私


公開日:2012/ 1/ 3

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします

さて、2012年になりました。柄にもなく、「管理人のふたこと」で、年始の挨拶と、フリーソフトに関する抱負なんて述べてみようかと思ってみてしまいました。というのも去年の、某Twitterクライアントに広告が付いた件の影響からか、フリーソフトのあり方とか、金銭関係のあり方とか、そういうことについて述べられているWebサイトを多く見るようになりました。

先日も、シェアウェアや寄付などについて、海外の例を挙げながら「プログラマ(フリーソフト作者)にもっと選択肢を与えるべきではないか」ということを述べているサイトを見たばかりでして。そういうことから影響を受けたかもしれません。

それから、あるフリーソフト作者さんのブログで「これからもユーザー様のために無料ソフトを提供できるよう鋭意努力を続けていく」という年始の挨拶を見て、影響を受けたのかもしれません。とにかく、書いてみようと思ったので書こうかと思います。

フリーソフトと私

INASOFTの誕生は1997年のことになります。このとき、高校の文化祭向けに作成したディスクに混入させたジョークソフトに「INASOFT」というグループ名を付けたのが、事の始まりになります。

この名前は、出身高校の名前に由来するわけですが、まぁそれは置いておいて。そのときはネット配布をするわけではなく、雑誌配布をするわけでもなく、インターネット上で配布をするわけでもなく、ソフト公開をしていました。

しばらくしてから、いくつかの草の根BBS(パソコン通信)上で公開したり、Vectorに登録したり、雑誌掲載されたりしたわけですが、1997年にスタートしたと考えると、今年2012年は、INASOFT生誕15周年ということになりますね。15年間、どんな流れで、どんなソフトを、どんな経緯で作ってきたかについては、後日ブログの方に書きたいと思いますので、そちらをお待ち下さい。

15年という歴史が語るとおり、INASOFTは世間一般からは「老舗(しにせ)の」フリーソフト配布サイトと見なされています。老舗と書かれると、なんだか、年老いた老人が作成・管理・運営しているような感じがしてくるのですが、実際もそんなようなものでして、主な管理人は32歳の肝臓値の高いオッサンです。世の中の様々なジェネレーションギャップにぶつかり、社会では「中堅」という曖昧な位置づけと任される作業の変化に辟易し、プライベートでは結婚後の新生活に面食らっています。

そんなオッサンが、健康と仕事と私生活の合間を縫ってフリーソフトを作っている様をご想像下さい。それが、「老舗(しにせ)の」フリーソフト配布サイトというものです。ここ、笑うところです。

そんな「老」作者が、フリーソフト制作をしていて感じるジェネレーションギャップとしては、「流行のソフトの種類」でしょうね。

僕がソフトを作り始めた当時は、PC自体のリソース(メモリ量、HDD量、CPU速度等々)がまだまだ貧弱であり、限られたリソースの中でPCを最大限活用する方法を、ユーザーは求めていました。

僕自身もそういう悩みを抱えており、そうして生まれたのが現在の「いじくるつくーる」であり「すっきり!! デフラグ」だと思ってもらえればよいかと思います。そしてINASOFTは、今でもその流れを引きずっているんだと考えてもらえれば、僕の立ち位置が分かるかと思います。

その後、流行始めたのは「IEコンポ−ネットブラウザ」だったと思います。この頃はまだ、IEにタブ機能が付いていないにも関わらず、市場はIEが占拠している状態でしたから、IEコンポーネントにタブ機能を付けたり、様々な便利機能を付けたりする私製ブラウザが流行しました。

そして現在、流行始めているのは、インターネット接続前提のソフトウェアです。Twitterクライアントや、様々なSNSやオンラインストレージサービスと連携するソフトウェアが流行っていると思います。

ただし、いつの時代も変わらない人気を誇るソフトもあるように思います。それは、圧縮/解凍/アーカイブ系ソフトです。こういったソフトは「日常的に、常用するソフト」であって、仕事をする人であれば必須なソフトだったり、いつの時代も使われ続けるものということかと思います。

僕は上記で書いたとおり、PCカスタマイズ系の世代にとどまり続けている感覚でいます。もちろん、この系統のソフトには現在でもそれなりに需要があり、それなりに改善要望等が届くため、とどまり続けるのは重要なことだと考えています。

ただ、華々しいTwitterクライアント等のオンライン系ソフトの様子を見ていると、「その中に参加したいな」「賑やかになりたいな」と思ってきます。

しかしながら。30過ぎたオッサンは、すでに「守り」に入っています。そもそも、新規ソフトを起こす時間が取れるわけもありません。今からWeb APIを勉強するのにどれくらい時間がかかるでしょうか? その分を本業の時間に回せば、家族を豊かに養うこともできるんじゃないか? そんなことを考えます。改革を忘れた思考は「死」をもたらします。徐々に衰退していく恐怖感が芽生えます。

実は同じようなことを、葦葉製作所のゲーム開発の方でも感じています。こちらは「フリー」なソフトではありませんが、状況は同じです。2Dゲーム開発を長々と行っていたせいで、3Dゲームの製作に移れません。プログラミングの手法の勉強に、どれだけ時間がかかるでしょうか? その分の思考を2Dゲームの作成に回せば、もっと面白いものが作れるんじゃないでしょうか? そもそも、ポリゴンな絵って、どうやって発注すればよいんでしょうか? 発注したところで、うまい具合に脳内妄想を実現することができるのでしょうか? 等々...

2D・3Dだけじゃありません。いつまでもWindows + DirectXにしがみついていてよいのでしょうか? HTML5やJavaScriptを使えば、もっと面白い世界が広がるはずです。世の中はPCよりも携帯端末に移行しようとしています。そもそも、PCに固執する考えが、よくないのかもしれません。

フリーソフトの方も同じく。PCに固執し続けていると、いつか「沈没船と共に沈んでいく」運命が待っているのかもしれません。

聞いた話によると、今、「流行しているゲーム」というのは、携帯電話に短い設問が表示され、それを選んで決定し、また設問が表示されて選んで決定し、たまに絵が出てきたり、ポイントの上げ下げがあったり…というのを、『あまり考えることなく』進めていけるようなゲームなんだそうです。ポイントの上げ下げには困難が伴いますが、その困難を除去するために『課金』というシステムがあり、世の中のプレイヤー達は、そういった課金を受け入れるようになっているんだとか。

僕の持っている「ゲーム感」とは、あまりにかけ離れており、いまいち何が面白いのか理解できません。しかし、もしゲーム開発を続けて、世の中に受け入れられたいのであれば、こういったことを受け入れ、そういったものを作って行くような「時代への順応性」が必要になるということなのかなぁとも思います。

でないと、ゲーム開発についても、PCという機器や、従来の「ゲーム感」共々、「沈没船と共に沈んでいく」運命が待っているのかもしれません。

……と、そんな未来のことを考えすぎてもしょうがないですね。今です。今、キャーキャー言われたいです。どうしたらよいでしょう。この問題の解決が、今年の抱負、ということになります。

作者とユーザーの昔と今


日本の商習慣の考え方に、「お客様は神様だ」というものがあります。僕は、フリーソフトにこれを適用してはいけないと考えています。だって、フリーですもん。

だから、あるフリーソフトの作者さんが、2012年のご挨拶で、「これからもユーザー様のために無料ソフトを提供できるよう鋭意努力を続けていく」という趣旨のことを述べていたのをみて、ちょっと疑問に思いました。

しかしフリーソフトたるもの、その思想もフリーでなければなりません。ユーザーのために無料ソフトを提供することを鋭意努力しても、それが作者の心の満足に繋がるならば、それで良いではありませんか。だから、疑問に思ってしまった僕は間違っていました。その考え方は尊重しなければならないな、と。

とはいえ、僕がその考えに染まるわけには行かないな、とも同時に思いました。

かつて、自主製作ソフトがパソコン通信上で公開されていた頃、作者とユーザーの交流は、もっと、簡単で、ゆるゆるで、活発であったと聞いています。それは、参加コミュニティの小ささ故かもしれませんし、ユーザーもパソコンのことを熟知していたため、共感できる事も多かったのかもしれません。

僕は、フリーソフトは趣味だと思っています。多分僕の中のフリーソフト感は、上のような、パソコン通信上で公開されていた当時なら、ピッタリ来ていたかもしれませんね。

でも現在、状況は変わってきているみたいです。

ユーザーからは「将来のバージョンのWindowsでも動作するよう『保証』してほしい」と言われました。

私の頼んだ機能は、まだ追加されないのか?と、『進捗報告』を求められました。

英語版を作れば、貴方のソフトを海外に紹介でき、より『多くのシェア』を獲得できます、と誘われました。

こういう機能を追加してくれたら、当社でも貴方のソフトを『採用』できるんですが…と言われました。

貴方のソフトに当社のソフトを同梱すれば、貴方に多くの利益をもたらすことができます、と言われました。

Twitterクライアントの業界は血で血を洗うようなシェアの奪い合いが続いています。

フリーソフトを取り巻く状況は、どんどん変わりつつあるし、それに対するユーザーの意識もどんどん変わるし、作者の意識もどんどん変わっていきます。気軽にフリーソフトを作れるなんてのは、もう夢の中の話でしかないのかもしれません。

でも、僕はフリーソフト作りは趣味だと思っているし、これからも趣味の範囲で、やりたいことをやっていくだけ。これは堅持したいと思っています。

ちなみにさっき、ちょこっと出てきた「保証」の話ですが、各ドキュメントに明記されているとおり、当サイトで公開しているフリーソフトについては、あらゆることについての「保証」を行っていません。将来的にWindowsのバージョンが上がったときに、それに対応する保証もありませんし、対応するよう修正する保証もありません。そもそも今現在、作者の環境で正しく動いているものが、何万人もいるユーザーの環境全てで理想通りに動く保証もありません。新しい機能追加で古い機能がデグレードするかも知れないが、それを直す保証もありません。これらは大げさに言っていますが、極端に言えば、保証をしないというのは、そういうことです。

お金関係


去年はフリーソフトと収入の問題が、大きくクローズアップされた年でした。

1月〜3月ごろには、「フリーライドでは?」といわれ物議を醸した、「配布サイトがフリーソフトに、同梱ソフトを付けてダウンロードさせる」事案がありました。

また、11月頃には、「ライセンス違反では?」といわれ物議を醸した、あるTwitterクライアントに広告を付けた事案がありました。

これらそのものについて、いまここであれこれ述べるつもりはありませんが、僕自身は、作者自身で同梱ソフトを付けるのも、広告を付けるのも、自由だし、そのことそのものは賛成の立場であることを、かねてより表明しています。そして僕自身も、Webサイト上には広告を貼り付けていますし、過去に同梱ソフトを付けていた時期もありましたし、現在では寄付受付について真剣に検討しています。

色々と検討しています。

そして、Twitter上や、様々なブログ上で、(ライセンス違反とか、迷惑のかからない範囲であれば)同梱や広告表示や寄付などについて、フリーソフト作者には幅広い選択肢があっても良いのではないか、という擁護論が広まっていることを認識しています。

僕としてはこれらを選択する上で、『自分のフリーソフトの利用者だったら、どういう許容ができるだろう』と考えたいと思います。というのも、僕もフリーソフト作者である以前に、(プログラムを作っている時間以外では)たくさんのフリーソフトの利用者でありますし。

民放テレビ局の放送を見ているときに、CMを見ていて、色々思うこともありますし。

新聞に入っている広告を見ているときに、色々思うこともありますし。

そういったことを総合的に考えて最適案を選択することが、(ユーザーにとってではなく)作者にとって有利な選択になるだろう、と考えています。

実は広告や同梱ソフトを付けたときの「苦情受付」というのも、作者にとっては大きな負担になるからです。苦情受付の負担や苦痛が、収入を上回るならば、広告を付けたり同梱ソフトを付けることは、むしろ作者にとって不利益となるわけですから。


さて、そうなりますと、去年9月に行った開発費に関するアンケート結果が気になってきます。

この結果に寄りますと、ユーザーの意識として許せるものは、


  Web寄付Web広告ソフトへの寄付 >> ソフト内の広告表示ソフト内への別ソフト同梱  

の順という結果が出ております。また、シェアウェアについては別の傾向が出ています。おそらく、ユーザーとしては、

ということでしょうか。お金については、あくまで、ユーザーの自由意志による金額支払でなければならない、ということでしょうかね。

なるほど。

ただ、もう一つ。その後、他のフリーソフト作者さんから、とても気になる話を聞きました。

日本でのフリーソフト寄付の成功率は、0.02%程度」というものです。欧米のように寄付文化が普及した国と違い、日本では寄付に対する感覚も育っていないし、手段も育っていません。そんな中で寄付を募集したとしても、ろくにお金は集まってこないみたいです。

というわけで、ユーザーにとっても作者にとっても有意義な寄付方法を構築するには、まずは、その意識と手段を構築しないといけないですね。

しかしながら、意識構築はともかく、手段構築と維持には、それそのものにお金がかかってくるでしょう。これは大変なことかもしれません。

逆にWeb広告表示や、ソフト同梱については、その導入から収入に至る方法の隅々において、手段が確実に構築され、維持されています。これは収入が多く、仲介業者がリベートを得られるようになっており、手段提供から手段維持を、仲介業者が行うことが可能になっているためでしょう。

寄付もこれくらい金額が高くなれば、手段提供・手段維持をする仲介業者が現れ、作者は手軽に寄付を採用することが可能になるかもしれません。しかし現在のような日本の寄付事情では、なかなか難しいことかもしれません。

となると、作者は自身の手で寄付手段を構築・維持をする必要があり、それは作者の負担になるので、作者はなかなか、収入の手段として「寄付」という手段を選択することができない。

なにか、うまい方法があればよいのですが……。なかなか難しいかもしれませんね。この問題の解決も、2012年の抱負としたいところですが、ちょっと高すぎる目標かなぁ。

これはまた、新しいアンケート企画を実施ですかね。



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